僕らもGANTZの中にいるのと同じ - GANTZ

すっかり放置してしまっているこのブログだが、友達のブログに刺激されて、僕も読書記録でもつけてみようかな、という気になった。
まず一発目はGANTZ。読書といいつつ、いきなり漫画だ。ネタバレ注意。

この漫画はとにかく設定が秀逸だ。電車事故で死んだかと思われた主人公が、気づくと謎の部屋にいて、意味不明の戦いに狩りだされる。で、主人公はおろか、その部屋にいる誰もいったいそれがどういう状況なんだか分かっていない。
分かっているのは、一キロ四方のエリアから逃げると死ぬ、とか、謎の部屋のことを外の世界で話すと死ぬ、とか経験にもとづくルールだけ。いったい部屋や戦いに何の意味があるのかとか、誰がそれを仕組んでいるのかとか何の説明もなし。
謎の部屋の事情に詳しそうな少年と主人公の対話がいい。たしかこんな感じだった。

少年「何か質問ある?」
主人公「・・・いったいなんなんだよ、この状況」
少年「そんなことオレもしらねえよ。」
主人公「ふざけるなよ!」
少年「質問がおおざっぱすぎるんだよ。もっと具体的なことなら教えてやれる。」

なぜ僕がこの設定がすばらしいと思うのかというと、これはまさに僕らの住む現実世界と同じ状況だからだ。僕らは自分のすんでいるこの世界のルールは経験上なんとなくわかっている。高いところから飛び降りたら、ケガしたり死んだりするとか、食べ物と呼ばれるモノを口に入れ続けないと動けなくなってしまうとか。
でもこの世の中っていったいなんなんだ、とか、誰が何のためにこんな世界を作ったんだ、という根本的な問いには誰も答えてくれないし、多分誰も答えを知らない。物理学者や数学者はこの世のルールを解き明かそうとし、考古学者や人類学者は僕らがどこから来たのか探り出そうとしているが、「この世界ってなんなんだ?」という根本的な問いには答えられそうもない。
そんな荒唐無稽なのに、なんだかリアルなGANTZの設定に世界の縮図を見てしまうのです。