雪の峠・剣の舞

寄生獣」で有名な岩明均先生の歴史物。
ちょっと前にある友達から別の友達に、「返しといて」といわれて渡されたのを役得として勝手に読ませてもらった。


雪の峠

これは示唆に飛んだ良い作品。シブイ大人の漫画だね。今の時代の若者へのメッセージなのかも。
関ヶ原の合戦前後の戦国から太平の世への過渡期を舞台に、「古き良き」戦国の時代の考え方から脱却できない/したくない老臣たちと、新しい時代での繁栄を目指す佐竹家の若き君主義宣と渋江内膳をはじめとするその若き側近たちの静かなる頭脳戦を描く。
老臣の中にもいろいろいる。
「近頃の若者は軟弱でなっとらん!」といった強硬派。
若い側近たちに理があると理解しながらも、ただ「戦」をしてみたいという欲求からこの戦いに引き込まれ、はからずも老臣側のリーダーになっていく老策士。
影で若者たちにアドバイスを送るものも。

そして第一ラウンドは経験に勝る老臣側の完全勝利。

意気消沈する若い側近たちに、親若者派の老臣が声をかける。
「おまえらのはただの説明だったが、老臣共は戦をしておったぞ。」
この言葉で内膳たちは第2ラウンドを挑むことを決意するが。。

なぜこれが僕の心を捉えたのか考えてみると、それは多分、こんな物語が読みたかったから。

  • 世代間のプライドのぶつかり合いや理解し合えないところをリアルに描いた戦いの物語。
  • 単純にイイモノと悪者に描き分けないリアルな人間同士の戦いの物語。
  • 信長や秀吉や家康のように一番にはなれなくても、それを認めて「配られたカードで戦う」リアルな人々の物語。

そういうの読みたいリアル志向な人にはおすすめです。

剣の舞

雪の峠と一緒に入ってるお話。戦乱に翻弄された切ない恋物語ってところですか。これもいい味出してます。