国母選手がたたかれている件。もうよせ、こんなことは。

国母選手の件です。
これには失望させられました。
いつもながらのマスコミのイジメ的報道姿勢や、一般の人の意見でも彼を感情的に叩く声が多いということに、異文化を受け入れる度量のなさを感じたのです。

僕はスノーボードにそこまで詳しいわけじゃないですが、自分がスポーツ文化に触れてきた経験から、スノーボード界の文化がどんなものかというのはなんとなく想像が付きます。スノーボードはストリートでの遊びである、スケボーの系譜を持つわけで、ウェアのファッションからもその辺は見て取れます。アメリカのストリートギャングとかのワルの要素を持つスポーツなわけです。
日の丸とか、権威に反抗してみせるのが彼らの文化での美学なわけだから、オリンピックの代表に選ばれたからって、いきなり服装を正してピチピチするなんてところを見せてしまうのは彼らの価値観ではカッコワルイわけです。どういう滑りをしたいですかと聞かれて、「かっこいいと思ってもらえれば、それでいいです。」ってのは、柔道で「あくまでも一本を狙います。」というのと同じで、その文化なりの美学があるのです。

で、今回は、日本の国民みんなで盛り上がるオリンピックスポーツ文化とスノボーの横ノリ文化が衝突した、というわけですが、そんなものにどちらが正しいとか間違っているなんて答えはない。日本オリンピック文化派のほうが数が多くて強いから無理矢理に彼を従わせることができただけで、彼としては全然納得できるわけがないでしょう。
ネイティブアメリカンに白人の文化をむりやり押しつけたのと、同じ構図です。こんなことで、「反省したか、オイ」的なことを言われたら、「チッ、うっせーな。」ってなるのは自然だと思いますけどね。

さらに言えば、文化の深み、という一点に関しては、選手にパフォーマンスだけじゃなく品行方正を求めるような日本のオリンピックスポーツを取り巻く文化よりも、スノーボードのチョイワルな文化のほうが上なくらいだと思いますよ。反社会的な部分は褒められたものじゃあないけれど、なにがカッコイイかということを多くの人が考えて、フィードバックを受けながら時間をかけて発展してきた深みは、やはりそこにある。
だいたいにおいて、よい子的なものには文化的な深みがない。教育上、短期的な視野で見て都合がいいという観点で大人が子供に押しつける文化様式なんだから、歴史的発展なんて何もなくて、おもしろいわけがない。独裁国家プロパガンダ芸術が、つまらないのと同じ理由ですね。

スポーツから文化的な面を切り離してしまって、全部品行方正にまとめちゃったら、味気ないと思いますよ。いろいろなスポーツの集合体であるオリンピックだったら、それぞれのスポーツが持つ文化を受け入れて楽しんでしまうくらいの懐の深さを持ってもいいんじゃないでしょうか?

一つ、異文化ってものがあることを理解しましょう。
一つ、大人になったら、よい子教育の刷り込みからは早く脱却しましょう。

大事な試合前のアスリートのメンタルをへこませて、いったい何がしたいのでしょう。
人間よ、もうよせ、こんなことは。