MOONLIGHT MILE

これもすごい。前回紹介したプラネテスと同じで、この漫画もヘリウム3による月開発への経済的インセンティブの発生をベースにした物語。

どっちが先にこの設定を漫画に持ち込んだのか、とかちょっと調べてみたけれど、ほぼ同時期のようですね。(あまりストーリーの前面には出されていないけど、ガンダムでもそういう設定はあったらしい。)
こっちのほうがより近い未来(プラネテスは、月はコモディティ化され、火星から木星へ、という段階。MOONLIGHT MILEでの人類のフロンティアは月。)を、よりリアル指向で描いています。
中国の台頭、テロ組織、北朝鮮のスパイ、核戦争、アメリカ政府内の権力闘争、日本初の有人宇宙飛行、月で生まれた子供達などと、未来の歴史を先取りするような迫真のネタがいっぱいです。
登場人物も、青臭いくらいの理想主義の人間から、怖いくらいの現実主義の人間まで、幅広く描き分けられていて、リアルな人間社会の深みを感じさせてくれます。作者が好きなようにストーリーを運んで好きなキャラクターをかっこよく活躍させるといった安易な展開ではなく、歴史のルールに従って、ひたすらシミュレーションのように現実的に世界が発展していく様を見せつけてくれます。
グラハム・ベルとイライシャ・グレイがほぼ同時に電話を発明したのは偶然というよりは、時代がそこまできていたと考えるべきでしょう。MOONLIGHT MILEプラネテスが同時に世に出てきたということは、宇宙時代がそこまで来ている、ということなのかもしれませんね。